24日(日)に開催されました「福島浩彦氏講演会」を聴講しての感想
の続きです。第一部は「行政刷新会議 事業仕分け」について、第二
部は「政策転換に市民の目、参加の仕組みを」という内容でした。こ
こでは第一部の事業仕分けについての講演内容の続きを書きます。
福嶋浩彦 先生
【国民的な議論の広がりこそ】
①公開での仕分けをきっかけに、国民の中に賛成・反対の議論が
広がって世論が作られ、それを踏まえ政府(政治)が最終決定
していくことが事業仕分けの真の意義
②事業仕分けで出された結論だけが独り歩きするのではなく、事
業仕分けでどんな議論が行なわれたのか、国民全体に伝わる
ことが重要
今後の課題として挙げられているのは、
A.仕分けの議論を正確に多くの人に知ってもらう努力が必要
B.マスコミ報道の改善も期待したい
C.国民の側の知る努力も大切 と、あります。
確かに今回の事業仕分けにおいては、AとBについては様々な
事例がありました。
代表的な例が【スーパーコンピューター】。「文系の仕分け人が
理系の予算を切るのか」とか「2番ではいけないんですか」という
部分部分しか見聞きしておらず、昨日も書いたように私は「技術
立国として開発の遅れは致命的じゃないのかな・・」と少々不安
を感じていましたが、そこにも様々な背景があり、福嶋さんのお
話を伺ったことによって、数々の事実と、これまた報道の稚拙な
「あおり」が身に沁みました。スーパーコンピューターの開発から
はNECと日立はすでに撤退しており、富士通のみが続けている
こと、世界一の演算速度を達成することに重きが置かれ過ぎて
いることなど、判り易く説明していただきました。
〔こちらの記事が参考になります〕
【
技術立国ニッポンの虚像が露呈した】
【
「スパコン凍結」批判でかすむ事業仕分けの「そもそも論」】
事業仕分けの正しい情報をご存知だったのかどうか判りません
が、ノーベル賞受賞者の方々の会見は何だったのでしょう・・
もう一例は【若者職業的自立支援推進事業】、若者の雇用対策
の一環として合宿型のニート就労支援を行う「若者自立塾」です。
こちらも事業仕分けにおける〔廃止〕判定を受け、それこそ烈火
の如く「若者を見捨てるのか!」と批判が起こりました。
〔こちらの記事が参考になります〕
【
事業仕分けで廃止になった「若者支援」】
※簡単な会員登録が必要ですが、参考になる記事が多数掲載されています
ので登録をお薦めします
一方では、こういう見方もあるんですね・・
【
高年齢化する「引きこもり」に追い討ちをかける事業仕分けの罪】
この事業についても、問題の本質や取り組んでいること自体の
是非を問うているのではなく、そのシステム・・にもなっていない、
言わば関係省庁や機関の「まる投げ体質」から生ずる、費用の
主に人件費を中抜きする悪徳ともいうべき利益搾り取り構造に
メスを入れないといけないことが仕分けの目的なのです。「何か
と言うと費用対効果か!」という批判もあったそうですが、別の
ある交付金を配布する事業においては、10億円のお金を交付
するのに、なんと5億円の経費(主に人件費)が掛かっていると
いう呆れんばかりの悪行が平然と行なわれているそうですよ。
その団体を構成する役員はもちろん天下りの面々。
事業仕分けにおける同事業の廃止判定を受けて、関東地区で
自立塾を運営している3団体が中心となって 「若者支援フォー
ラム」という集まりが12月14日に東京大手町で開催されたそう
です。会場の雰囲気は仕分けの判定に対する非難が占めてい
たと思われる中、福嶋さんは別のワーキンググループのメンバ
ーだったのにも関わらず出席され、事業仕分けの意義の説明
に始まり、その仕組みにおける問題点、そして今回の講演会の
第二部のテーマである〔市民の市政への参加〕〔市民自治〕に
も通ずることですが、市民・住民にとって必要な事業やサービ
スは市民・住民に一番近く、その地域の実情を分かっている地
方自治体が取り組むことが望ましい、ということをお話しになり、
ややもすれば批判・非難だけで終わってしまいそうな集まりに、
落ち着いてその問題と向き合うことを説いて来られたそうです。
会が終わった後、多くの参加者がお礼を述べてくださったそう
です。そう、しっかりと伝えれば、解決の道を示すことができれ
ば、判り合えるんですよね、そうですよね・・。
しかし、昨日も書いたことですが「事業仕分けは『提言』であり
『(最終)決定』ではない」のです。本当に必要としている現場
に必要な支援が行き届けば何ら問題はないことですものね。
数々の問題点が白日の元にさらされました。でもきっと氷山の
一角でしょう。次の事業仕分けにも注目したいと思います。
また日を改めて、今度は第二部「政策転換に市民の目、参加
の仕組みを」を聴いた感想を書きたいと思います。