24日の日曜日は、松本市中央公民館Mウイングで開催されました
「福嶋浩彦氏講演会」を聴講してきました。以前から参加している松
本政経塾も今回の講演会の実行委員会にジョイントして、とのこと。
講演会の受付も政経塾は別になっておりまして、北原塾長がにこや
かに(?)迎えてくれました。 新年の挨拶をしたあと早速、「この後の
懇親会、出てくれますよね☆」と。 えっ、えぇ出ますよ
・・出ますよ^^;
会場はほぼ満員の状態。期待の高さを感じます。NHK長野放送局
取材クルーが来ていらっしゃったようです。
福嶋浩彦さんは1995年、38歳の若さで千葉県我孫子市の市長に
初当選なさり、2007年1月までの3期12年をお勤めになりました。
先の行政刷新会議 事業仕分けにおいては、第1ワーキンググルー
プの評価者として参加なさった方です。現在は、中央学院大学、東
洋大学大学院の教授として、また、内閣府の政策参与といった重職
に就いておられます。
講演の第1部は、まずその「事業仕分け」。事業仕分け人の方々が
ばっさばっさと「廃止です」「縮小です」と、結論付ける場面ばかりが
繰り返し報道され、どちらかというと私は少しでも無駄遣いはやめて
くれ、でも、スーパーコンピューターのような、技術立国として影響が
ありそうな事業の予算まで削減することはないのでは・・と、今から
思えばまさしくテレビ報道の思うつぼ、にはまっていた一人でしたが、
福嶋さんのお話を聴いて愕然。正しく伝えられていないことの怖さを
知りました。警戒しなくてはなりません。政治をワイドショー化してし
まう、特にテレビ報道には。
【事業仕分けの意義】
①国の事業(予算)を「見える」化し、国民の視点で「税」が真に有効
に必要なものへ使われているか確かめ、行政全体を再構築してい
くための道具
②国の事業(予算)に対する政府の説明責任のハードルを高める
①は、「右肩上がり(成長)の社会システムの抜本的な見直しに向け
て、『何をやめるか』について、国民の視点で決める」こと、です。
これから待ち受ける「人口減少社会」。人口が増え続けてきた日本が
初めて直面する問題であり、従来の社会システムの構造のまま突入
すれば、社会システムそのものがダメになってしまう恐れがあります。
福嶋さんは「
次の新しいものを創り出すためにも、何をやめるのかを
(国民の視点・市民の視点・納税者の視点で)決めることが重要」と、
説明してくださいました。
②については先日参加した、ある会議の場において、この事業仕分
けで「廃止」判定を受けた事業に関係している方が、「あんな説明で
は評価者と充分論議することができないよ」と、事業の説明をした官
僚(?)の方の説明について苦笑していましたが、「説明責任のハード
ルを高くする」ことによって、関係機関の方々が、その事業の重要性
や果たしている役割、存在理由などについてどれほど認識している
のか、本気で取り組んでいるのか、現場の状況を把握しているのか、
表現・・というか露呈することになったのではないでしょうか・・。
【事業仕分けの原則】
③「完全に公開の場で」 ・国民、マスコミ、全ての人に公開すること
・公開の場で出された結論を変更するには、国民全体を納得させ
る論理が必要
④「外部の目を入れる」 ・事業の現場の実態をよく知る人(利害関係
者以外)がメンバーに入ること
⑤「理念を議論する場にしない」 ・事業の寄って立つ理念を議論する
のではなく、理念を実現するためにその事業が必要か、税金が有
効に使われているかを議論する
③については、皆さんご存知の通り。喧々諤々と討論する場は完全
に公開され、撮影・録画・録音、はたまたインターネット中継もOK。
当初は物珍しさで人が集まっているだけ・・と思われていた見学者は
減るどころか増える一方。福嶋さんも驚かれたようです。小さなお子
さんを抱っこしたお母さん、学校帰りの高校生の姿もありました、と。
事業仕分けを模したゲームをつくるのはどうかと思いますが、政治へ
の関心を大いに高めるきっかけにはなりましたよね。「
事業仕分けは
『提言』であり『(最終)決定』ではない」のです。
※最終決定するのは内閣
④については、「民間評価者がいるから 『事業仕分け』 である」と。
確かに、ずっと継続してきた事業をその当事者が自ら、そして根本的
に見直すことは難しいと思います。
⑤については、これもまたテレビによって随分と歪められて報道され
てしまったようです。象徴的なのは、第3ワーキンググループの仕分
け人の参議院議員の蓮舫さんと、独立行政法人国立女性教育会館
理事長でいらっしゃる神田道子さんとの討論の場面。まあ、確かに
その〔話し方〕云々は見た方それぞれの感じ方ですから何とも言え
ませんが、テレビの視聴者には、蓮舫さんが神田さんの問い掛けに
対して聴く耳持たず、という印象が強かったと思います。福嶋さんの
説明をお聴きすると、その背景がよく判ります。
事業仕分けは理念を
話し合う場ではないと。神田さんが「私の話を・・」と仰っていた内容は
冒頭に各省庁の担当者が既にしていたとのこと。そして福嶋さんは、
事業仕分けの基本は「
全てをまず肯定した上で議論すること」ですと
説明してくださいました。確かに今回の事業仕分けは、男女共同参画
社会の形成をはじめとする、とても大切な問題そのものについて話し
合う場ではありませんものね。
長文になってしまいましたので、その②に続きます・・。