一昨日の信濃毎日新聞には、少し考えさせられる記事もあったりしたの
ですが、何よりも驚いたのが半導体大手の
ローム株式会社の社長交代、
という記事でした。馴染みのない方が多い企業かも知れませんが、それ
はもう間違いなく日本を代表する大企業です。
創業から53年を経て初の社長交代。創業者の佐藤研一郎氏はメディア
などに登場する機会はほとんどなく、今回の社長交代の会見にもメッセ
ージを寄せただけでした。
私の県外の友人は以前に、あることで佐藤社長の送迎を何度か担当し
たことがあり、いつも相当緊張したと言っていましたが、とても穏やかな
物腰の方で、降りる際には必ずお礼の言葉をいただいたものだよ、と言
っていました。
佐藤社長のお名前やロームという企業名を聞くことがあると、友人の話
がよみがえり、そして私もホテル勤務時代に一度だけ送迎を担当したこ
とがある、こちらも日本を代表する家電・ゲーム業界の大手企業S社の、
当時副会長だったM様というお客さまのことを思い出します。
M様がいらっしゃったのは5月の連休でした。この時期の諏訪のあたり
ではまだ山桜が咲いています。そのような話から始まり、季節ごとの魅
力や、この地方の歴史のことなどを、ご迷惑にならないように気をつけ
ながら、説明させていただきました。2泊3日のスケジュールの最終日
はJR塩尻駅までお送りしました。
その時は合わせて7.8名様でのご旅行でした。私の運転するマイクロ
バスから皆さんが降り、私もようやく肩の荷がおりたかなと、安堵して
帰路に着こうとバスを動かしました。 助手席の窓越しに、M様は「どう
もありがとう」というような優しい眼差しでお辞儀をして、そしてしばらく
の間、私の運転するマイクロバスを見送ってくださいました。これには
本当に感動しましたね・・。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」とは、まさ
しくこのようなお姿を表しているんだな、と感じ入りました。
☆
ちょっとした親切や感謝の言葉というものは、それをした、口にした本
人よりも、してもらった側のほうが覚えているものです。ホテル勤務の
時は、適度の緊張感と強い責任感について学ぶ機会に恵まれました。
そして、佐藤社長やM様のような、ビジネスの頂を知っていらっしゃる
方々に共通している何かを垣間見ることができたのも貴重でした。
私は生粋のホテルマンではないけれど、そのスピリット・・は持ってい
たいと思います。ホテルをはじめとするサービス産業は、お客さまに
よって育てられる部分が多くあります。自身がそれに値するレベルで
い続けられることが大切だと改めて思います。